今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈腎(非腫瘤性)〉
腎盂腎炎・腎膿瘍
佐久間 亨
1
1東京慈恵会医科大学放射線医学
pp.251
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100960
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腎の腫大をきたす疾患は,腎腫瘍,急性腎盂腎炎,急性腎不全,腎静脈血栓症,水腎症,アミロイドーシス,糖尿病,代償性腫大などが挙げられる.そのなかで炎症所見が強く,腎盂・腎杯の拡張と壁の肥厚を伴い,皮髄境界領域に浮腫を示す低エコー領域が認められる場合,急性腎盂腎炎が疑われる(図1).しかし,超音波検査上は異常の認められない例も多い.特に免疫不全や糖尿病合併例では,限局性の境界不明瞭な低エコー病変を形成する場合があり,急性巣状細菌性腎炎と呼ばれる(図2).このような症例では超音波所見だけでは腫瘍性病変との鑑別が困難である.
腎萎縮をきたす疾患は,慢性腎不全,慢性腎盂腎炎,腎梗塞,腎動脈狭窄などが挙げられる.特に,腎杯の拡張とそれに一致した腎実質の萎縮と輝度の上昇がみられた場合には,慢性腎盂腎炎が疑われる(図3).鑑別として胎児性分葉が挙げられるが,この場合,腎葉(腎杯)間に切痕が認められることにより鑑別が可能である.
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