増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
2.尿路・性器感染症
腎盂腎炎
山田 陽司
1
,
松本 哲朗
1
Yoji Yamada
1
1産業医科大学泌尿器科
pp.169-173
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902578
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1 はじめに
腎盂腎炎は腎盂・腎杯および腎実質に炎症が生じた尿路感染症であり,重篤な場合は敗血症に至ることで臨床的に重要な疾患である。その分類としては,尿路に器質的疾患のない単純性腎盂腎炎と,基礎疾患を有する複雑性腎盂腎炎に分けられる(表1)。
一般に単純性腎盂腎炎では急性の経過をとり,性的活動期の女性に多く,尿中分離菌は大腸菌がほとんどで,各種抗菌薬に反応しやすく,予後良好といわれている。しかし,時として1回の罹患によって重篤な腎実質障害をきたすことがあり,注意を要する。一方,複雑性腎盂腎炎では,小児や高齢者に多く(表2),一般に慢性の経過をとる。しかし,急性増悪をきたし,急性腎盂腎炎様症状で医療機関を受診することがある。また,治療に反応し,いったん治癒したようにみえても再発・再燃することが多く,治療においては起炎菌の多様性(図1)や薬剤耐性菌の出現に注意する。さらに,診断時すでに不可逆的な腎機能障害に陥っている場合もみられる。
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