連載 確認したいオリジナル・5
Brodie膿瘍か,Brodie骨膿瘍か
鳥巣 岳彦
1
1九州労災病院
pp.441
発行日 2007年5月25日
Published Date 2007/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408101045
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
日整会誌に掲載されたBrodie膿瘍に関する最初の論文(1934年)は,松原順三先生の“所謂Brodie氏骨膿瘍ノ早期診断ニ就テ”であり,ドイツ語文献の論文名と同様,Knochenabszeβ骨膿瘍となっている.わが国の整形外科学教科書にも,神中正一:神中整形外科学(1940),三木威勇治:整形外科学入門初版(1951),片山良亮:小整形外科学総論(1960),天児民和:整形外科学(1960),いずれもBrodie骨膿瘍と記載されている.
1832年のBrodieの原著は,10年以上にわたり時折起こる脛骨部の間欠的な腫脹と激痛に悩まされていた3症例の報告である.切断術が選択された1症例目の病理解剖結果は脛骨内の限局した膿の貯留であり,他の2症例は脛骨穿孔術で膿が確認されている.1845年のBrodieによるSt. George病院での“Abscess of the tibia”と題する臨床医への教育講演では,以下抜粋のように,軟部組織と同様に骨の中にも膿瘍が生じること,症状と経過が異なることが強調されている.臨床的着眼が素晴らしい.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.