画像診断
後腹膜嚢胞性病変も疑われた腎上極に達する巨大膀胱憩室
村石 修
1
,
服部 照夫
2
,
橋本 紳一
1
1自治医科大学泌尿器科
2古河記念病院外科
キーワード:
膀胱憩室
Keyword:
膀胱憩室
pp.443-445
発行日 1998年5月20日
Published Date 1998/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902349
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患者 83歳,男性。
主訴 下血,頻尿,排尿困難。
既往歴 1995年1月からの二段排尿と頻尿のため某泌尿器科を受診し,前立腺肥大症と診断され,時々通院していた。経過中の超音波検査で右巨大尿管合併と診断されたが,右水腎を認めず,高齢であることにより放置していた。
現病歴 1997年春から出現した下血に対する大腸検査の結果,直腸癌と診断され,古河記念病院外科に入院となった。
臨床経過 外科での術前検査としての腹部CT検査で,右腎上極から膀胱近くまで達する直径約20cmの嚢胞状病変を認め,造影CTで造影されなかった(図1,2)。腹部超音波検査で同病変は腎前方に位置し,膀胱との連続性は明らかではなかった。嚢胞性であるため,腸間膜嚢胞,後腹膜嚢胞が鑑別診断としてあげられ,外科から泌尿器科へ紹介された。DIP検査では左右の腎尿管に著変を認めず,膀胱底挙上を認めるものの膀胱頭側の造影は不良であった(図3)。膀胱造影を行うと,拡張した膀胱頂部から発生し腎上極に達する膀胱憩室を認め,尿意を感じる時点の膀胱容量は1,200mlであった(図4)。
1997年8月18日,同院外科,泌尿器科で直腸癌に対する高位前方切除術と膀胱憩室切除術を施行した。膀胱憩室はそれに連続する本来の膀胱壁を一部付けて切除した。術中所見で膀胱憩室口は示指2本が通る程度で,憩室は上行結腸および同結腸間膜の背側に存在した。
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