メディカルエッセイ
臆病で強気な術者の消化管の再建
髙井 計弘
1
1東京大学医学部附属病院分院泌尿器科
pp.24
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902262
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手術は怖くて仕方がない。非常に上手くいったと思う手術でも,取り敢えずガスが出て患者が食事をとれるようになり,創も開かないことが確認できるまでは,内心冷や冷やしている。
膀胱全摘除術と尿路変向術は一連の長い手術であり,油断すればどこにでも落とし穴はある。特に強調したいのは,消化管の再建である。膀胱全摘除術が上手くいき順調に尿路変向術まできたとき,出血が多くやっとの思いできたとき,尿路変向術は回腸導管だからもう少しだと思うとき,neobladderだからまだまだかかるときなど,状況はいろいろである。そんな2つの手術の途中での消化管の再建は,術後に枕を高くして眠ることができるかどうかのポイントの1つである。結紮,切離を繰り返し,ある程度力を加えて視野の悪い術野を展開する摘除術と,いったん落ち着いて浅い層で腸管を吻合する手技は雰囲気が異なり,手術の流れからも切り換え点である。
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