増刊号特集 膀胱全摘除術と尿路変向術のすべて
Ⅵ 術後管理と合併症対策
5.晩期合併症とその対策
尿路変向術後の代謝異常
寺井 章人
1
Akito Terai
1
1京都大学医学部泌尿器科
pp.317-323
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902314
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はじめに
腸管を利用した尿路変向術後の患者では,代謝異常は常に留意しておくべき晩期合併症の1つである1〜4)。代謝異常には,腸管粘膜が尿成分を吸収するために生じるものと,腸管を切除することに起因するものとがあり,前者では電解質異常,高塩素性代謝性アシドーシス,薬物代謝異常,骨ミネラル量の減少による骨軟化症・くる病・発育障害,尿路感染症,尿路結石形成などが,後者では回腸末端部切除のためのビタミンB12,葉酸,胆汁酸吸収障害による巨赤芽球性貧血,末梢神経障害,下痢などが報告されている(表1)。
使用する腸管の部位によって代謝異常の種類は異なってくるが,泌尿器科領域で最近主流となっている回腸あるいは結腸を利用した尿路変向術式に焦点を絞って以下に概説したい。さらに興味ある読者は,いくつかの総説1〜4)を参照されるとよい。
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