Coffee Break
泌尿器腹腔鏡手術について思うこと
松田 公志
pp.242
発行日 1994年3月30日
Published Date 1994/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901193
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さまざまな泌尿器科腹腔鏡下手術が開発されたが,minimally invasive surgery:MISとして,誰もが納得できる最もよい適応は副腎摘除術であろう。これまでの開放手術に比べて,術後回復の早さは目を見張るものがあるし,とにかく腫瘍だけをとれば確実に治癒する疾患としての単純明快さがよい。他の手術術式もMISとしては意義があるが,骨盤リンパ節郭清術では前立腺全摘術になれば同じ術野を開放するのが釈然としないし,腎癌に対する腎摘除術ではリンパ節郭清や組織の取り出し方など,広く普及するには残された問題が多い。
副腎摘除術の何よりの問題点は患者数が少ないことであろう。1年に数例の副腎腫瘍のためだけに腹腔鏡器具を揃えたり手術手技を修得するのは割に合わないし,かなり高度な技術を維持するのも困難である。胆嚢摘除術のような,症例数も多いし技術的にも中程度の手術がみあたらないことが,泌尿器科での腹腔鏡手術の普及を妨げている。
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