Coffee break
再び泌尿器腹腔鏡手術について思うこと
松田 公志
pp.186
発行日 1995年3月30日
Published Date 1995/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901482
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骨盤リンパ節郭清術で華々しく開幕した泌尿器腹腔鏡手術は,いま,少し曲がり角にきているように感じる。静脈瘤,腎摘,副腎などさまざまな術式が開発されたが,従来の開放手術と比べて真の意味でminimally invasive surgeryと言えるかどうか,必ずしも明らかではない。St.Louisで開催された第12回世界Endourology・ESWL学会において会長のClayman教授は,手術時間,Cost,合併症などをすべて含めて考慮すれば,開放手術に対して‘Clear Winner’といえるのは,現時点では,触知不能精巣の診断とリンパ嚢腫開放術の2つにすぎないと述べていた。わが国では副腎摘除術もwinnerの有望な候補と考える人が多いが,手術時間がいまだ開放手術より長く,術式の普及状態からみても,clear winnerにはなりきれていないようである。腹腔鏡手術が泌尿器科手術をより大きくかえるimpactを持つためには,例えば腎癌など,より頻度の高い疾患に対して,現在よりはるかに容易な手術手技が開発される必要があろう。
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