Coffee Break
QOL雑感
工藤 潔
pp.94
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900853
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陰茎癌に対するQOLを追求することが徒となり,症例3の患者を失ったことは私にとって痛恨の極みでした。しかし,男性のシンボルである陰茎を切断することは患者にとり精神的に耐えられない苦痛でもあったでしょうし,QOLの向上を追求することも単純ではないことを痛感した次第です。
近年,QOLやinformed consentなどの横文字を医学書のみでなく,新聞,週刊誌などでもしばしば眼にしますが,これは従来の医療側主導の医療を,欧米風に患者の主体性を尊重するものにしようとする意図のあらわれと思われ,大変結構なことです.しかし,かかる風潮がエスカレートすると病気を商取引するようで,味気ない気もします。
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