Coffee Break
尿道鏡のすすめ
田利 清信
pp.97
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900855
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膀胱鏡のできない泌尿器科医はいないが,尿道鏡となると意外と盲点になるのではないか。医師になりたての頃,アルバイト先の先輩に,尿道鏡はあまり日常行われないので,少し行えば,学会発表のネタはすぐ見つかると言われて自己流に時々やっているが,現在の日常診療で,やらなければならない検査でもないので,あまり行われていない感じである。そこで,尿道鏡で診断した2例を紹介する。
症例1 24歳,男性,無症候性血尿で受診,形のごとく,腎から膀胱まで検査するも何も出てこない。年2〜3回,同様の血尿があるが止血剤で止まり,出血部位不明のまま経過した。31歳になってやっと勃起後に血尿になることが多いと気づいた。この間,結婚して2児をもうけている。33歳になって,血塊で尿閉になり,力を入れると血塊が出て,その後尿は透明になったと言い,はじめて,尿道疾患を疑った。患者は,夫婦生活が恐ろしいと言うようになった。膀胱鏡で,膀胱内は正常,尿道鏡(パンエンドスコープ)で前立腺部尿道に血管拡張した腫瘍があり,入院,TURを行った。組織は血管腫でno malignancyであった。その後4年間血尿はないので,後部尿道血管腫が血尿の原因だったようだ。
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