Coffee Break
いつものこと
山崎 悦夫
pp.48
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900838
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先入感や常識にとらわれてはいけません,と言う忠告は何度も繰り返されていることで,頭の中では十分承知しているつもりです。
最近,経験したことですが,救急当番の内科医から,貧血の強い患者で,下腹部に大きなmassがある。卵巣腫瘍あるいはruptureと言ったことを考えているが超音波でみて貰いたいという依頼がありました。出かけてみますと,なるほど巨大なmassが下腹部正中にあり,卵巣腫瘍とそれに伴う腹水だろうなと思い,プローベを当ててみました。巨大な単房性の,壁は一様に平滑で,内容も完全に均一なmassでした。腹水は全くありません。場所からも様子からも卵巣でなく,膀胱ではないかと考えましたが,膀胱がこんなに大きくなるはずがないと思う気持ちと,完全に卵巣と考え,ぼくの確認が欲しいだけの様子の内科医たちの間では,場所からいえば膀胱でもいいようですけどと独り言の様にボソボソと言うのが精一杯でした。間もなく産婦人科医がきて内診をし,子宮の前方に柔らかなmassがある。まあ,バルーンをいれてみましょうと言うことになり,カテをいれてみると,やがて,バッグ二つも尿がでて,おなかは平らになってしまいました。
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