特集 いま話題の低活動膀胱―これを読めば丸わかり!
企画にあたって
小島 祥敬
1
1福島県立医科大学医学部泌尿器科学講座
pp.97
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206802
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2002年に国際禁制学会によって,過活動膀胱の定義づけがなされました.わが国でもそれにならい,「尿意切迫感を必須症状とし,通常は夜間頻尿と頻尿を伴う症状症候群」と定義づけられています.尿流動態検査でしか診断できなかった排尿筋過活動を,症状のみでとらえようという考えがその根底にあったのだと思います.当時は,抗コリン薬を中心としたいわゆる蓄尿症状の改善薬が世に出始めた頃であり,また下部尿路機能障害を専門とする泌尿器科医のみだけではなく,一般泌尿器科医や一般医家が理解しやすい「病名」をつくるということは,それなりの恩恵をもたらしたのだと思います.その一方で,過活動膀胱というたった1つの言葉で表現されたことにより,その多彩な病態がなおざりにされていることも事実です.
さて,本号の特集は「低活動膀胱」です.尿流動態検査でしか診断できない排尿筋低活動を症状のみでとらえることができるのか? 過活動膀胱のように一筋縄ではいきません.本文でも触れられている通り,海外では低活動膀胱の特徴が提唱されています.しかし,前立腺肥大症などの膀胱出口部閉塞(BOO)との鑑別を,症状のみでいかにしてするか,非常に難しい問題です.一方で,「低活動膀胱」の患者さんが数多くいることも事実です.侵襲的な尿流動態検査を用いることなく,症状のみで診断できることは,医療従事者にとっても患者さんにとっても非常によいことです.果たして,低活動膀胱は“2匹目のどじょう”となりうるのでしょうか?
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