特集 エキスパートが語る! 腹腔鏡下手術の落とし穴と対処法
企画にあたって
小島 祥敬
1
1福島県立医科大学医学部泌尿器科学講座
pp.821
発行日 2016年10月20日
Published Date 2016/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205790
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1990年初頭に,世界で初めて腹腔鏡下腎摘除術や副腎摘除術が行われてから四半世紀は過ぎました.今日では手術機器の著しい進歩,腹腔鏡技術認定制度の確立に伴い,特に腎摘除術や副腎摘除術においては標準的手術となりました.また,技術の進歩とともに小径腎癌に対しては,腎部分切除術が普及しつつあります.さらに,骨盤内手術においても,前立腺全摘除術はロボット支援手術に凌駕されたものの,腹腔鏡下膀胱全摘除術は保険適用となりました.
しかし,腹腔鏡下手術においても時として大きな落とし穴に遭遇します.円滑な手術を行い,合併症を回避するため,術前に十分に個々の患者さんの評価を行うことが重要です.開腹手術が妥当かそれとも腹腔鏡下手術を行うべきか? 腎摘除術が妥当かそれとも腎部分切除術が妥当か? アプローチは経腹膜か後腹膜か? などといった術前のプラニングはきわめて重要です.また,いったん手術を開始したとしても,さまざまな困難に直面することはありえます.大血管の処理をいかに安全かつ確実に行うか? 出血をしたときの対処法は? そして,周囲臓器損傷を回避するためにはどうすべきか? 回避できなかったときにはどう対処するか? さらに,術中に開腹手術に移行すべき緊迫した場面で正しい判断をいかにするのか? など,知っておくべきポイントは多くあります.
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