特集 決定版! 過活動膀胱─All about OAB
企画にあたって
小島 祥敬
1
1福島県立医科大学医学部泌尿器科学講座
pp.9
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205519
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International Continence Societyにより,過活動膀胱(OAB)の定義が定められてから,10年以上が経過しました.今日では,一般内科医や患者さんにも浸透し,定着しつつあります.わが国においては,2005年にOABの診療ガイドライン初版が,2015年4月には第2版が刊行され,診断・治療の道筋がつけられています.しかしながら,まだまだ解決されていない課題が山積されています.
OABは症状のみで診断されるため,診断が簡便であることが利点とされます.しかし,そこには大きな落とし穴が存在します.病因や病態生理が置き去りにされたまま診断や治療がされているという現状です.すなわち,“木を見て森を見ず”になりかねません.OAB症状の背景に存在する疾患の本質を理解することなく,診断が行えてしまうことは,間違った治療につながる可能性がありますし,ともすれば医学の発展の妨げになります.また安易な診断は,医療の商業化を招いている可能性があります.OABを引き起こす病因や病態生理は患者ごとに異なり,これを一緒くたに扱うことはできません.また,既存の治療法に抵抗性のOAB患者も多く存在し,これらに対する治療はいまだ確立していません.
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