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超高齢化社会は,65歳以上の人口が全人口の21%を超えた場合と定義されています.わが国では2010年に超高齢化社会へ突入し,2025年には約30%に達すると予測されています.一方,厚生労働省が公開した平成29年簡易生命表によると,日本人の平均寿命は過去最高を更新し,男性は81.09歳,女性は87.26歳となりました.しかし,平均寿命と健康寿命(健康上の問題によって日常生活が制限されることなく生活できる期間)の差は,2016年において男性8.84年,女性12.35年と報告されています.すなわち,男性も女性も約10年間は不健康状態を抱えながら人生を送ることになります.超高齢化社会においてこの差は,要介護高齢者の数が増加することを意味し,大きな社会問題になっていることは皆さんもご承知のとおりです.
要介護高齢者のQOLを低下させる大きな要因の1つは排泄です.特に排尿の問題は,私たち泌尿器科医が真剣に取り組まなければならない重要な社会的課題です.そこで今月号の特集は,「高齢者の排尿マネジメント」をテーマに企画しました.第一部では高齢者医療において重要な“フレイル”“サルコペニア”をキーワードとして,第二部では高齢者の排尿マネジメントについての各論,特に大病院・地域病院・在宅医療における排尿管理の実際について,第三部では高齢者の下部尿路機能障害に関わる疾患各論について,それぞれのエキスパートにご執筆いただきました.高齢者の排尿マネジメントは,泌尿器科医とメディカルスタッフが協調して行うべきであることから,タイトルに「メディカルスタッフとともに診る」という枕詞をつけさせていただきました.本特集が,高齢者に対する“良質な医療チーム”による“良質な排尿管理”の提供の一助になることを期待しています.
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