文献抄録
60歳以下の前立腺癌stage A1 A2患者の長期観察の予後
pp.19
発行日 1987年1月20日
Published Date 1987/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204404
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前立腺肥大症の経尿道的切除(TUR-P)の組織から偶然に発見される前立腺癌の治療をどうするかについてはいろいろと議論がある。従来のこの問題点に関しての報告では,60歳以下の比較的若い人のstageAlA2の長期間(10年以上)観察の予後についての報告はない。著者らは,この点に着目して60歳以下の23例についての長期予後に検討を加えて報告している。stage A1の定義として,TUR-Pにより良性腫瘍の診断で切除した組織の癌容積が1cm3以下で, grade 1〜2までのものをstage A1とした。著者らの検索した23症例は,何れも良性の前立腺腫瘍による排尿障害と診断された患者で,22例はTUR-P,1例は恥骨上式手術により摘除組織中に癌病巣が偶然発見されたもので,術前の直腸診では全例癌を疑わせる所見はなかつた。患者の年齢は43歳から59歳までで,平均54.9歳である。切除した腫瘍の重量は5gから97 gで,癌病巣が1個以上発見されたのは2例のみである。組織のgradeはgrade 1は21例, grade 2は2例である。摘出組織の詳細な検索の結果,8例に腫瘍容積1cm3以上のものがみられ,これはstage 2と判定した。この23症例の長期予後についてみると,初めの9年間では全例に癌の増殖はみられなかつたが,それ以後では癌の増殖進展が現われて8名が癌死した.
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