文献抄録
Stage D2前立腺癌に対するKetoconazoleの効果
pp.658
発行日 1987年8月20日
Published Date 1987/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204543
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KetoconazoleはImidazole系の薬品で,内服剤としてfungal疾患に用いられているが,一部の患者に女性化乳房をおこすことから,tes-tosteroneの合成阻害作用のあることが知られた。その後Prachtenberg(1984)らによつて,本剤は睾丸性,副腎性男性ホルモンの血中濃度を低下させることから,無治療の進行性前立腺癌に有効であることが確認された。著者らは,本剤のD2前立腺癌に対する長期予後の検討を行つて報告している。被検症例は17名のまつたく無治療のD2前立腺癌(Group1)と,11名の抗男性ホルモン治療後に再発した進行性前立腺癌(Group2)に本剤を投与した。Group1の17名は全例骨に転移を認め,うち15名は骨の強い疼痛を訴え,15名にPAPの上昇が認められ,4名は尿路症状があつた。治療として本剤を1回400mgを毎8時間内服せしめた。各症例については,臨床症状の変化の観察,血清中testo-sterone値の変動,PAP値,肝,腎機能,一般血液所見などを検査し,骨スキャンは6ヵ月毎に行つた。本剤の投与期間は,原則として症状が改善して愁訴が消失するまで継続することとしたが,しかし,副作用が強く出現したり,骨の疼痛が再燃した場合,あるいは新しい転移巣が発見され,PAP値の上昇が認められる時には中止した。
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