文献抄録
細針吸引法の細胞診によるstage A前立腺癌の発見について
pp.1030
発行日 1987年12月20日
Published Date 1987/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204624
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早期前立腺癌発見のためにヨーロッパでは細針吸引法による組織細胞診が広く行われている。米国においても最近本法の有用性が評価され,本法は実施が容易で安全,安価なため一般に普及しつつある。
著者らは排尿障害を訴え触診により硬結のみられない良性の肥大症と診断された患者に対して,本法を術前に行つて前立腺TURの切除組織の病理所見と対比し,本法によるstage Aの発見頻度について検索した。症例は1984年6月から1985年1月までに前立腺肥大症と診断され,前立腺TURの目的で入院した102名について,術前に細針吸引法にて前立腺組織の細胞診を行つた。細針吸引法は23ゲージの針を用いて,経直腸的に示指を導標として前立腺の前後左右の四葉からそれぞれ組織を吸引し,これをスライドに落としてH.E.染色,パパニコロー染色をして病理検査を行つた。細針吸引の手技はFranzeu法(1960)によつた。組織の細胞診による良性,悪性の判定は,腺細胞の核の均等性,大きさ,細胞の配列の様子から判定したが,その典型例は論文中図示したごとくである。前立腺TURの摘除組織で癌と診断された症例については骨スキャン,酵素法によるAPを測定した。
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