文献抄録
45歳以下の若年者の前立腺癌の予後
pp.583
発行日 1987年7月20日
Published Date 1987/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204523
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前立腺癌は高齢者の疾患で,45歳以下の若年者では前立腺癌の0.5〜1.0%程度の発生頻度と言われている。そして若年者ではその予後は高齢者と同じstageでも進行が早く予後も悪いとの報告がある。この点を再検討する目的で,著者らは1954年から1984年の30年間に治療した45歳以下の前立腺癌14例について,そのstage,grade, therapyによる予後について報告している。14例の年齢は36歳から44歳までで,平均41歳であつて,5例は39歳以下であつた。初診時の症状としては,直腸診で硬結を触れたが無症状のもの5名,骨に疼痛のあるもの3名,排尿痛は3名,排尿困難を訴えたもの2名であつた。
症例のstageでは,6名がstageB,4名がC,4名がDであつた。11名についてGleason grade分類でみると,4名がscore 2〜4,4名は5〜7,3名は8〜10であつた。治療については,stage Bの6名は後恥骨式前立腺全摘除を,1名は経尿道的切除を,6名は除睾術と女性ホルモン投与を,1名は女性ホルモン投与と放射線照射を行つた。症例はそれぞれの治療終了後19ヵ月から270カ月の経過を観察した。経過観察期間の平均は111ヵ月である。予後については,8名が5年以上生存し,10年生存は47%,15年生存は42%であつた。
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