文献抄録
Stage D前立腺癌のホルモン治療長期生存
pp.1065
発行日 1979年11月20日
Published Date 1979/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202846
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前立腺癌にホルモン治療が取入れられて既に40年以上経過するが,なお未解決の問題がある。ホルモン治療が有効な前立腺癌の判定法あるいはその有効期間の推定法などはその一つである。そこで著者らは1963年から1968年にかけて56名のSt.Dの前立腺癌でホルモン治療で10年以上生存した5例の患者について臨床的解析を試みた。この56名のSt.Dの患者はいずれも骨転移があり,また血清中酸フォスファターゼの上昇が認められている。治療は除睾術と女性ホルモン投与を行なつた。10年以上の生存は5名で全体の8.5%であつた。この5名について骨転移形成,水腎症の有無,酸フォスファターゼ値,ヘマトクリット%などについて共通点を調査したが,特に特徴的所見は見当らない。生検による組織のGradeはGleason法によつて見ると,4名はGr.6,1名はGr.7であつた。5名中1名は15年以上生存した。
一般にSt.Dの前立腺癌は,無治療の場合は平均1年前後で死亡する。前立腺癌の細胞はホルモン感受性があるもの,ないものの集団であるので,この両型細胞の勢力比によつてホルモン依存性の有無がわかれると言われる。従来前立腺癌のホルモン依存性の有無判定のハラメーターはいろいろ挙げられている。
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