文献抄録
前立腺癌患者の治療と予後について
pp.743
発行日 1967年8月20日
Published Date 1967/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200231
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最近6カ年に,14のVeteransAdministration Hospitalsの泌尿器研究グループが協力して前立腺癌患者2,812名についてその治療と予後の関係を統計的に観察し興味ある結果を得たので報告する。以上の癌患者の内統計資料になり得た症例は2,052名であつた。その内訳は癌病巣が前立腺のみに限局している,いわゆるStage ⅠおよびⅡに該当する症例は計288名であつて,これ等の患者はいずれも根治的手術を施行した。そして約半数に当る146名は術後1日5mgのDiethylstilbestrol経口投与を行ない,残りの142名は偽錠(Placebo)投与を行なつて5年以上の経過を観察した。この根治手術を行なつた288名の5年以内の死亡者は,50名であつたが,女性ホルモン投与群では32名,偽錠投与群では18名という統計結果を得た。この結果から判断すれば手術後の補助療法として女性ホルモン投与で必ずしも延命効果を期待し得ないと云える。
次に癌の遠隔転移は証明されないが,癌は前立腺外へ浸潤を示している,いわゆるStage Ⅲの患者992名については治療法を4群に分け,第1群256名は女性ホルモン投与のみ(投与法は前記)第2群251名は除睾術と偽錠投与,第3群237名は女性ホルモンおよび除睾術,第4群248名は対象として偽錠のみとして予後を観察した。
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