Japanese
English
綜説
BCGおよび関連化合物を用いる癌の免疫療法
Cancer Immunothcrapy with BCG and Related Substances
東 市郎
1
,
山村 雄一
2
Ichiro Azuma
1
,
Yuichi Yamamura
2
1北海道大学免疫科学研究所
2大阪大学
1Institute of Immunological Science Hokkaido University
2Osaka University
pp.7-19
発行日 1987年1月20日
Published Date 1987/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204403
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はじめに
BCG生菌を用いる癌の免疫療法は1970年代前半を中心に世界的規模で行われた。特に米国において熱狂的にほとんどあらゆる腫瘍に対して臨床応用が試みられた1,2)。BCG生菌は一部の腫瘍に対し有効性がみとめられたが,熱い期待と厖大な研究費と人力を費して行われたにもかかわらず,その効果は期待した程でなかつたので人々はBC-G生菌(免疫アジュバント)に対し興味を失い,当時新たに脚光をあびつつあつたインターフェロンをはじめとするリンホカイン,モノカインに注目したのであつた。しかし,BCG生菌を用いる癌免疫療法をさきがけとして癌の免疫学的治療はその後の基礎免疫学,分子生物学などの進歩と相まつて急速な進歩をとげた。著者らは過去20年間BCGをはじめとするミコバクテリアおよび関連細菌菌体成分の免疫活性に関する研究に従事して来たが,同時にBCGやNocardia rubra細胞壁骨格を用いる癌の免疫療法の基礎的研究と臨床応用に従事した。
本稿において,BCG関連物質を川いる癌免疫療法について著者らによつて得られた知見を中心に述べる。
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