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講座
術前術後の患者管理(5)—精神障害を有する場合
Management of Patients Before and After Surgery (5): In Cases with Mental Disorders
清水 洋一
1
,
遠藤 俊吉
1
Yoichi Shimizu
1
,
Shunkichi Endo
1
1日本医科大学精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Nippon Medical School
pp.389-394
発行日 1984年5月20日
Published Date 1984/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203806
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はじめに
泌尿器科はその対象が尿路系と性器系であり,それらは,ある意味では,人間の身体の中で日常的に最も意識されやすい機能を司る器官の一つである。そのため,泌尿器科は産婦人科などとともに,診療を進める際に医師が患者の微妙な心理を配慮すべき診療科といえる。事実,泌尿器科を訪れる患者の中には,性的機能障害をはじめとして,精神的要因が患者の身体生理機能に少なからぬ影響を及ぼしている場合が,相当数みうけられるようである。そのような場合には,好むと好まざるにかかわらず,泌尿器科医は心身医学的立場で患者を診ていかざるをえないであろう。それゆえ,泌尿器科医は,患者の当該の疾患にのみ目を奪われることなく,患者の精神的な訴えにも耳を傾けて,心身症的な悪循環により病像が悪化することのないように注意することが望ましいと思われる。ことに,手術のように,それ自体が心身双方にとつて大きなストレスとなりうる場面においてはなおさらである。
また,そのことは,手術が必要な泌尿器科患者で明らかな精神障害を有する場合でも同様である。
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