特集 術後1週間の患者管理
合併症を有する場合の患者管理
腎障害を有する場合の患者管理
太田 和夫
1
1東京女子医科大学腎臓病総合医療センター
pp.685-688
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207691
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
腎不全を伴つた患者の手術に当つては,まず腎不全の程度をクレアチニンクリアランス(Ccr)などにより正確に把握することが大切であり,Ccrが30 ml/min以下の患者については術前,術後の管理に十分注意を払わなければならない.
腎不全の場合は他臓器の機能不全と相違して人工腎臓を用いて大幅に状態を改善できるので必要に応じてこれを活用すべきである.
術直後の問題は麻酔薬の排泄障害による覚醒,換気不全であり,術後2〜3日で特に問題となるのは高K血症である.
そのほか抗生剤の投与は腎よりの排泄を十分に考慮し,腎毒性のあるアミノ糖類抗生剤などは避けなければならない.
透析は手術創の止血が完了した時点であれば何時から開始してもよいが,通常,術後1〜3日くらいで行なわれることが多い.
輸液は腎機能障害が軽度ないし中等度であれば多量に与えて腎機能を賦活し,高度の障害例や透析例では液量を減少させて高カロリー輸液とするとよい.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.