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小児睾丸腫瘍の発生機序は,成人の悪性腫瘍の多くがそうであるように,まつたく不明と言わざるを得ない。しかし,Wilms腫瘍やretinoblas-tomaと同様に,小児睾丸腫瘍の多くは乳幼児期に見つけられ,このような乳幼児の悪性腫瘍は,胎児の期間にすでに腫瘍化が始まつていたものと考えられ,この点で成人の悪性腫瘍の発生機序とはかなり趣を異にしており,生理的な組織発生が妨げられていることから,広義の先天異常に属するとも言えるわけである。
最近,Wilms腫瘍については高率に先天異常を合併することが知られており,遺伝的な因子あるいは胎生初期の細胞の突然変異が腫瘍化と関連している可能性について,盛んに研究され論じられている。小児睾丸腫瘍は,Wilms腫瘍と並ぶ泌尿器科領域の代表的な小児悪性腫瘍であるが,合併する先天異常についての記載は内外の文献にほとんど見当らない。そこで,過去21年間に北大泌尿器科において治療した小児睾丸腫瘍患老について,合併した先天異常をretrospectiveに調査したところ,高率に先天異常を伴うことが判明したので報告する。
There are constantly increasing reports on patients who exhibit congenital anomalies that are predilected for development of a variety of malignant tumors. As to patients with the undescended testis and the dysgenetic testis, several authors are observing a high incidence of tumorigenesis in the affected testis. This usually develops not during childhood, but after adulthood.
This presentation reports our experience of 25 infants and children who developed the testicular germ cell tumors and their incidence of associated congenital anomalies.
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