Japanese
English
綜説
レニン・アンギオテンシン系の諸問題
Some Aspects on the Renin-Angiotensin System
河辺 香月
1
Kazuki Kawabe
1
1三楽病院泌尿器科
1Urology Service,Sanraku Hospital
pp.707-717
発行日 1978年8月20日
Published Date 1978/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202591
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はじめに
周知のようにレニンは前世紀の終わりにTieger-stedtとBergmanによつて発見された腎性昇圧物質であるが,Goldblattの腎動脈狭窄による実験的高血圧の作成によつてその生理学的意味が再認識された。したがつて腎性高血圧を論ずるには,レニンを避けて通るわけにはいかない。現在では高血圧患者を診たら必ずレニンを測定して鑑別診断に役立てるべきであるというほどになつており,高血圧の単一の原因としてレニンを考えるのは行きすぎであるにしても,高血圧とレニンは不可分の関係にあるといつてよい。しかし,レニン・アンギオテンシン系(R-A系)の生物作用は第1表1)に示したように現在わかつているものだけでも広汎にわたり,単に高血圧との関係を論ずるのみでは片手おちというものである。R-A系は,最新の薬理学の教科書ではヒスタミン,hy-droxytryptamine,キニンおよびプロスタグランディンとともにautacoids(局所ホルモン)として扱われており,むしろその方が生理学的意義を端的に表現しているかもしれない。
この稿ではR-A系のすべてについて論ずることはとうてい不可能なので,とくに最近のトピックスについて,臨床医として必要と思われることを,著者の規準で選んで解説することにする。すでに教科書的事実として記載されていることについては記述を簡単にし,また文献も省いた。
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