増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅰ.ホルモン
3.副腎皮質
レニン・アンジオテンシン系
成瀬 清子
1
,
成瀬 光栄
1
,
出村 博
1
1東京女子医科大学第二内科
pp.123-125
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901908
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レニンは腎傍糸球体細胞で産生される酵素で,血中に分泌されると肝由来のアンジオテンシノーゲン(レニン基質)に作用してアンジオテンシンⅠを生成し,それがアンジオテンシン変換酵素によりアンジオテンシンⅡ,さらにアンジオテンシンⅢに変換される.アンジオテンシンⅡ(およびⅢ)は血管平滑筋の収縮による昇圧とともに,副腎皮質からのアルドステロン分泌を刺激することにより,血圧を上昇させる(図).したがって,レニン・アンジオテンシン系の活性度を知るには血中アンジオテンシンⅡの測定が最も論理的であるが,測定が難しく,通常レニン活性が最も広く使われている.
レニン活性は,血漿を試験管内で37℃,1時間インキュベートし,血漿中に存在するレニンとアンジオテンシノーゲンの反応から生成されるアンジオテンシンⅠの量で表す,アンジオテンシンⅠはラジオイムノアッセイで測定する.したがって,レニン活性は,血中レニン濃度とともにアンジオテンシノーゲン濃度にも依存するが,後者は通常ほぼ一定なため,レニン活性はレニン濃度とよく相関する.しかしながら,妊婦や肝硬変などのアンジオテンシノーゲンに変動をきたす病態では両者に解離を示す.レニン活性はngAI/ml・hと表される.
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