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トランスジェニックマウスとレニン―アンギオテンシン系
杉山 文博
1
,
堀口 尚
2
,
深水 昭吉
3
1筑波大学動物実験センター
2基礎医学系
3応用生物化学系
pp.272
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902253
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生体内において血圧にかかわる調節系は幾つか知られている.その中の1つにレニン―アンギオテンシン(RA)系がある.酵素レニン(RN)は,基質であるアンギオテンシノーゲン(AG)をアンギオテンシンI (AI)に変換させる.また,AIはアンギオテンシン変換酵素(ACE)により,さらにアンギオテンシンII (AII)へと変換される.AIIは生理活性物質として血管収縮など昇圧因子として働くほか,動脈硬化1)や心肥大2)の発症機構においても深くかかわっている可能性が示唆されている.したがって,ヒトのRA系遺伝子をマウスに導入し,遺伝的素因の明らかな高血圧動物の開発はヒトの高血圧の病態生理や高血圧と他の疾患との関連を解析可能な有用なモデル動物を提供することとなる.
そこでわれわれは,ヒトRN遺伝子導入マウス3)とヒトAG遺伝子導入マウス系統4)を発生させた後,この両系統の交配により両外来遺伝子を保有する"つくば高血圧マウス"を作成した5).このマウスの体内においては,ヒトRNとヒトAGの特異的反応によりAIが正常なマウスの4倍産生されていた.また,このAIはマウス内在のACEにより過剰なAIIの産生を誘発することとなった.結果,"つくば高血圧マウス"は正常のマウスより20~30mmHg有意に高い血圧上昇を示した.また,このマウスへのACE阻害剤,AII拮抗薬,またヒトRN特異阻害剤投与は血圧上昇を抑制した.
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