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アンギオテンシン変換酵素(angiotensin con- verting enzyme:ACE)
1.ACEの作用
ACEは,血圧調節系の1つ,レニンーアンギオテンシン系の重要な構成要素である。腎臓の傍糸球体細胞から血液中に分泌された活性型レニンは,血液中に存在するアンギオテンシノーゲンに作用して,デカペプチドのアンギオテンシンIを産生する。このアンギオテンシンIは,ACEの作用により,1回の肺循環中に大部分がオクタペプチドのアンギオテンシンIIとなる1)。ACEは,アンギオテンシンIのC末端にある2つのアミノ酸,ヒスチジンとロイシンを加水分解して,血管収縮作用を有するアンギオテンシンIIに変換させる。レニン—アンギオテンシン系の活性物質であるアンギオテンシンIIは全身循環に入り,その強力な昇圧作用を発現する1)。また,ACEは,血管拡張作用のあるブラジキニンを不活化することも知られている2)。
ACEは血管内皮細胞の膜酵素であるが,免疫担当細胞である単球,マクロファージでも産生される。全身性に単球—マクロファージ系の増殖がみられる疾患では,病巣からACEが分泌されて血液中のACE濃度が上昇する。そのため,血清ACE活性は,血管内皮細胞における産生亢進だけでなく,肉芽腫性疾患でも上昇する3)。つまり,サルコイドーシスなどの単球—マクロファージ系の増殖が主体となる炎症性疾患において,血清ACE活性は,全身的な病勢を反映することになる。また,アンギオテンシンIIが,マクロファージの抗原提示能を増強すること,T細胞の化学遊走物質として作用することが報告され,肉芽腫性疾患の病態形成への関与も推測されている4)。
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