交見室
脊損者の尿道皮膚瘻閉鎖手術/核種併用シンチグラフィーによる後腹膜腫瘤の診断法
横山 正夫
1
1東京大学医学部分院泌尿器科
pp.32
発行日 1977年1月20日
Published Date 1977/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202285
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脊損者の尿道皮膚瘻閉鎖手術に関する論文(石堂,増田,宮崎:本誌30;935,1976)を読み感銘を受けました。私も10年ほど前,3年にわたり脊損者の尿路管理にたずさわる機会をもち,尿道皮膚瘻3例に5回の手術を行ない2例を治癒せしめました。当時近藤先生の本(近藤賢:神経因性膀胱の臨床,医学出版社,1965)を唯一の頼りに苦労したおぼえがあります。石堂論文の手術成績はすばらしいもので,宮崎先生の永年の御苦労がしのばれ,頭の下る想いであります。尿道皮膚瘻の原因として無雑作無思慮の尿道カテーテル留置が強く指摘されていますが,まつたく同感です.このごろ脱髄性脊髄疾患や脳血管性障害患者の尿道皮膚瘻をみることがかなりあり,この指摘は脊損者のみならず,ますます増加している"寝たきり老人"の尿路管理にもあてはまるもので,泌尿器科医の一層の努力と,関係医療従事者の教育の重要性をうながすものと考えます。論文の趣旨は,脊損者の尿道皮膚瘻は手術的に閉鎖可能で,努力により良い成績がえられることと理解しましたが,残念なことに尿瘻閉鎖後の尿路管理状態については言及されていません。閉鎖成功後も種々の理由でカテーテルなしではうまく管理できなかつた症例はありませんでしようか。
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