文献抄録
原発性膀胱癌部分切除術について
pp.43
発行日 1977年1月20日
Published Date 1977/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202288
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原発性膀胱癌に対する部分切除術の評価は泌尿器科医の間でも統一された見解がないのが現状である。著者らは1960年より72年の間に50名の症例に本法を施行して手術法の改善5年ないし10年の予後を追究して非常に良好な成績を得て,症例の選択と本法の適応などについて述べている.50症例は平均年齢64歳,男性43名,女性7名であり,内16例は以前にTUR, X線体外照射(60Co),RI腔内照射の治療をうけて再発を来したものである。症例の組織像は移行上皮癌44例,扁平上皮癌3例,腺癌2例,脂肪肉腫1例,腫瘍の発生部位は上壁20例,後壁13例,左右側壁12例,三角部5例であつた.大きさ径4cm以上10例,2cm以上25例,2cm以下15例であつた。著者らが壁切除について留意した点は,腫瘍は可能なものは術前にTURBにて切除しStage,Gradeを検査し,部分切除時には腹膜を開いて転移を調べ,骨盤腔のリンパ節転移の有無と,疑わしい時には生検する。また膀胱を開く時には手術野への腫瘍散布がおこらないように十分被覆し,膀胱壁は脂肪組織あるいは腹膜も含めて全層切除する.尿管口近接部の切除では尿管再吻合をいとわず施行し,切除した膀胱壁縁についてただちに凍結切片にて腫瘍細胞の有無を検索することにした。50症例については予防的な術前後のX線照射は行なつていない.
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