随筆
井上五郎先生の想出
稲田 務
1
1京都大学
pp.323
発行日 1968年4月20日
Published Date 1968/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200393
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初めに井上五郎先生の御略歴を記しておこう。先生は明治43年京都帝大医科を卒業,皮膚科教室に入局,松浦教授の指導を受けられ,主に泌尿器科を勉強せられ,44年助手,大正5年講師,9年助教授,12年医学博士,昭和2年1月独逸留学,4年7月帰学せられた。京大泌尿器科講座は昭和10年に開設せられていたが,13年5月21日付にて先生が初代教授に就任せられた。然し教室としては未だ独立しなかつた。17年7月31日付を以て還暦退官せられた。
次に私の想出を遠慮なく,或いは失礼に当る点があるかも知れぬが,記してみよう。私の学生時代には先生は助教授で泌尿器科を分担していられた。講義もポリクリも習つたが,あまり口数は多からず,冗談も云われず,叱られず,どちらかと云えば,学生に対しては内気のように見えた。
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