特集 Merry Christmas
あるクリスマスの想出—讀者より
pp.25
発行日 1949年12月15日
Published Date 1949/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906575
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早いものでまたクリスマスの日が參りました。昭和20年と云えば,あの無暴な太平洋戰爭の終つた年,當時私は從軍看護婦として,遠く臺灣にわたり,ある軍の野戰病院に配屬されておりました。戰爭は終り,内地への送還ははじまつてはいましたが,私たちはまだどうなるのかもわからず,不安の中に毎日を送つておりました。
入院していらしつた兵隊さんたちは,その半數がマラリヤ患者,敗戰後の外地病院で,榮養はおろか,食物も十分でなく,やせおとろえ,特有な蒼黄色の顔に,不安と疲勞の色をうかべながら,しつこい熱にくるしんでいる人たちの樣子はほんとうにお氣の毒でした。
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