醫學談叢
戰爭中獨逸の想出(續)
小林 一郞
1
1國立東京第二病院
pp.60-63
発行日 1947年4月25日
Published Date 1947/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200212
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(10) Gotenhafen(Gdingen)海軍病院及びその分院。
1945年暮赤軍はバルト三國を攻略し更に破竹の進撃振りでOstpreussenに迫つた。丁度比の頃私は同方面からの傷者が殺到して居ると言はれる此の病院を訪ねた。前年私が此の軍港を訪問した時はまだまだ餘裕が有り,獨海軍自慢の潛水艦學校では沈沒潛水艦からの脱出(Tauchretter)の實演を見せて呉れたりしたが,今囘は戰況非常に不利で軍港施設初めその中央にある海軍病院も何時爆碎されるか判らぬ状況なので,焦慮不安の色は覆ふべくもなかつた。陸上の退路を遮たれ辛じて海上を避難し來た虱だらけの傷兵や難民が續々到着するが,此の軍港では應急手當と區分だけをして,内科關係はNeustadtの,又外科關係はLauenburgの分院に送つてしまふ。空軍が劣勢では軍港の眞中の病院は何の役にも立たぬ事になる。
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