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編集後記
大家 基嗣
pp.448
発行日 2010年5月20日
Published Date 2010/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102060
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その店には凛としてこちらを見つめる男性の肖像画が飾ってありました。どこかで目にしたことのある絵でしたので,給仕に聞いてみました。新宿中村屋フレンチレストラン・レガルでの出来事です。新宿中村屋はご存知のようにカレーの名店です。各地に支店があり,レトルトでも販売されているので,「インドカリー」を食べたことのある方も多いのではないでしょうか。
「高村光太郎の自画像です」と答えが返ってきました。おそらく遠い昔に教科書あるいは何らかの書物で見たのでしょう。店内を見渡すと,目を釘付けにするような絵画,彫刻がなにげなく飾ってあります。平日であったこともあり,店は空いていました。上品な店ではありますが,ミシュランで星が付きそうな高級店ではありません。中村屋は老舗なので,おそらく店に通った新進の文士あるいは芸術家が借金の形に置いていったのかと失敬な想像をしていました。もう7年も前のことです。
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