書評
「スタディメイト泌尿器科学」―勝岡洋治 編集
奥山 明彦
1
1大阪大学大学院器官制御外科学・泌尿器科
pp.439
発行日 2010年5月20日
Published Date 2010/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102058
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畏友である勝岡洋治大阪医科大学教授編集の「スタディメイト泌尿器科学」(以下,本書)の書評に先立ち,学部学生の教育に対する感想を紹介するが,教育を実践される泌尿器科医諸兄も同感かと推察申し上げる。要は,系統講義やポリクリに対して受動的であり体系的な知識に欠けている。この点を彼らに指摘すると「習得科目が多過ぎ教科書に目を通す時間がない。国家試験の受験本の習得に終始することが現実的」と切り返された。勝岡教授も「序」で,学生主体で能動的なクリニカルクラークシップもインターネットを通じた安直な情報収集により,本来の目的達成に至らぬことを嘆いておられる。
しかし,教科書がややもすると敬遠される理由は編者や執筆者の側にも問題がある。改訂版は抜本的な「改定」に至らず,せいぜい新しい術式やガイドラインの追加に留まり,概して数年前の記述やレイアウトが踏襲される。新規出版であっても複数の教室関係者が執筆するため,遠慮もあり編者の意向実現が困難となる。さらに学生や研修医との世代的な意識の相違が感得できなければ,一方通行で読者にとって魅力に欠けた内容となる。
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