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編集後記
大家 基嗣
pp.1024
発行日 2025年10月20日
Published Date 2025/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038523930790111024
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朝と夜の京都.東海道新幹線の車内誌(『ひととき』2025年8月号)の表紙の文字が目に留まりました.京都の夏は暑すぎて,京都人は昼間出歩かず,朝あるいは夕方になってから行動します.昼間に出歩いている人は観光客だと決めつけていました.観光客のほとんどが日本人だった時代のことです.海外からの観光客で真夏の京都がごった返す時代が来るとは全く予想していませんでした.
「井浦新さんの朝さんぽ」で訪れていたのは大徳寺でした.通好みだけれども敷居が高いお寺を,それも朝から訪れていたことが意外でした.家内と京都での初デートで選んだお寺が大徳寺でした.お互いが学生時代に通っていた京都で訪れたことのないお寺でした.大徳寺は22の塔頭寺院の集合体で,お寺のほとんどが普段公開されていません.門には「拝観謝絶」の木札が掛かっています.臨済宗の総本山である大徳寺の総意として,観光客を多く受け入れることは禅の精神を損なうと考えている気がします.家内とは大徳寺本坊を訪れ,天井の雲龍図に見惚れていると,急に雨が降ってきたことを思い出しました.この本坊も現在は公開されていません.これほど敷居が高い大徳寺が取材をよく受け入れたものだ,と驚いた訳です.

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