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7.腎不全
【慢性腎不全】
83.肝硬変の合併により腹水管理に難渋している血液透析患者です。対処について教えてください。
佐藤 滋
1
1秋田大学医学部泌尿器科
pp.291-293
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101465
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1 診療の概要
維持血液透析患者で,肝硬変になる原因の多くはC型肝炎(HCV)である。2003年末の統計からみると,全国の透析患者数が237,710人で,このうちHCV抗体陽性率は12.1%であり,健常成人と考えられる献血者におけるHCV陽性率0.56%に比べ,著しく高率である1~3)。また,HCV新規感染率は2001年で2.2%であった4)。HCV抗体陽性率は,輸血歴がある群がない群より高率であることから,長期血液透析患者の高いHCV抗体陽性率は輸血が原因と考えられた3)。しかし,1990年よりエリスロポエチン製剤が保険適用となり,輸血機会が減少しているが,透析歴の短い患者でのHCV陽性率は一般人より高率であることから,輸血以外の感染の可能性が示唆されている3)。
Nakayamaら5)はHCV抗体陽性維持透析患者276人とHCV抗体陰性維持透析患者1,194人を6年間追跡調査し,肝硬変による死亡率はHCV抗体陽性者で8.8%であるのに対し,陰性者では0.4%であったと報告している。
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