特集 術前・術後管理 '91
H.術後合併症の対策
d.開腹術後の合併症
肝硬変患者の術後腹水
山崎 晋
1
1国立がんセンター病院外科
pp.234-235
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900631
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■病因■
腹水の原因の一次的要因は門脈圧亢進と低アルブミン血症であり,二次的要因として間接的高アルドステロン血症による水分の体内貯留である.術後ではさらに手術操作の影響が加わる.
肝の線維化のために肝内門脈床は狭小化しており,これが肝硬変における門脈圧亢進の原因であり,肝合成能の低下による低アルブミン血症が併存しやすい.Starlingの法則により説明されるように,高圧で低浸透圧の門脈血の血漿成分は門脈壁から腹腔内へ漏出する.肝内門脈床の狭小化は門脈圧だけでなく肝リンパ系の内圧をも亢進させるので,リンパ液の腹腔への漏出が腹水の一因となる.
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