今月の主題 肝硬変と肝癌
肝癌の治療と対策
腹水の治療—とくに肝硬変由来の難治性腹水の対策
今井 深
1
,
亀田 治男
1
Fukashi Imai
1
,
Haruo Kameda
1
1東京慈恵会医科大学・第1内科
pp.1532-1533
発行日 1983年9月10日
Published Date 1983/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218428
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腹水は生理的範囲をこえて腹腔内に液体の貯留する状態であるが,その発生機序や腹水の性状は一様ではない.肝疾患のうち腹水貯留をきたす疾患は肝硬変によるものが最も多く,その合併率は48〜78%の数値が示されている.肝癌(転移性肝癌を含む)でも腹水は認められるが,この場合は浸出性の腹水であって,肝硬変時の濾出性の腹水とは区別されるものである.しかし,肝硬変における肝癌合併率は当教室の昭和51年〜56年までの肝硬変症死亡患者剖検例66例中48例(72%)が肝癌を合併し,そのうち20例が有腹水例であった.したがって本文では主に肝硬変時にみられる腹水の治療対策を中心に記す.
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