特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
5.腫瘍(外来化学療法)
【膀胱癌】
57.表在性膀胱癌の患者です。TURBTを行い,今までにBCGやTHP-ADM,MMCなどの膀胱内注入療法を行いましたが再発を繰り返します。対処と処方について教えてください。
井上 啓史
1
,
執印 太郎
1
1高知大学医学部泌尿器科
pp.194-196
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101437
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1 診療の概要
膀胱癌は,診断時において,約40%が臨床病期Ta(非浸潤癌)で,約20%がT1(粘膜固有層あるいは茎部間質に癌浸潤が及んだもの),約2~5%が上皮内癌(carcinoma in situ:CIS)と,約70%が膀胱筋層にまでは癌浸潤を認めない,いわゆる表在性である1)。表在性癌(Ta,T1)に対する治療として,経尿道的膀胱腫瘍切除術(transurethral resection of bladder tumor:TURBT)が第一選択とされ,膀胱温存が可能なばかりでなく,生命予後も90%以上と良好である。しかし,TURBT後の膀胱内再発は,5年再発率で約50%と高率であり,5~20%は浸潤性癌への悪性進展も認める2)。
この膀胱内再発には,新たな癌の発生ばかりではなく,すでに存在していた前癌病変の成長(多中心性発生),膀胱腔内播種などの要因に加え,手術時に内視鏡的に視認し得ない微細病変,平坦病変の残存が大きく関与するとされる。
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