特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
5.腫瘍(外来化学療法)
【膀胱癌】
58.表在性膀胱癌の患者です。TUR-BTを行い,今までにBCGやTHP-ADM,MMCなどの膀胱内注入療法を行いましたが再発を繰り返します。対処と処方について教えて下さい。
堀川 洋平
1
,
羽渕 友則
1
1秋田大学医学部泌尿器科
pp.207-209
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100266
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1 診療の概要
表在性膀胱癌(Ta/T1)に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)後5年以内の再発率は50~70%と高く,何度も再発を繰り返しているうちに5~20%は浸潤性膀胱癌へ悪性進展するため慎重な経過観察が必要となる1)。膀胱内再発を抑えることは進展の確立を下げる可能性もあり,この意味で再発予防目的の膀胱内注入療法は重要である。膀胱注入薬は,アルキル化剤のマイトマイシンC,アンスラサイクリン系抗生物質のアドリアマイシン(ADM),エピルビシン(epi-ADM),ピラルビシン(THP-ADM),またはBCGなどが本邦では適応となっており,再発予防の有効性を示す多くの報告がある。
これまでの研究から,膀胱注入療法はTUR-BT後短期(1~3年)の再発を約20%抑制できるが,5年以降の長期の再発予防効果は期待できないようである2)。また,残念ながら進展への予防効果も明確ではない。さらに投与方法について決まったレジメンはなく,各施設ごとにさまざまな投与方法が行われているのが現状である。
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