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5.腫瘍(外来化学療法)
【膀胱癌】
58.リンパ節転移を認めた膀胱全摘除術後の患者です。QOLを損なわない術後化学療法について教えてください。
井上 啓史
1
,
執印 太郎
1
1高知大学医学部泌尿器科
pp.197-199
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101438
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1 診療の概要
膀胱腫瘍は,その診断時,約30%が浸潤癌(局所進行性膀胱癌)で,また約5%には転移(転移性膀胱癌)を認める1)。これら進行性膀胱癌はsystemic diseaseであることより,その治療には全身抗癌化学療法が必要となる。
2005年,英国のmeta-analysisグループによって,根治的膀胱全摘除術をコントロールとした術前後の補助化学療法の有用性に関する臨床試験のmeta-analysis〔術前補助化学療法11試験(2,890症例)2),術後補助化学療法6試験(491症例)3)〕が行われた。その結果,Cox比例ハザードモデルを用いた解析により,CDDPを主体とする術前後の補助化学療法は,再発や生命予後に対して独立した予後改善因子であると報告された。同年,日本でもMatsuiら4)が,局所進行性膀胱癌において,CDDPを主体とする術前後の補助化学療法の生命予後に対する有用性を示した。このような切除可能な局所進行性癌に対する術前後の補助化学療法としてばかりでなく,転移性癌や切除不可能な進行性癌に対しても,治療の主体として全身抗癌化学療法が行われる。
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