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2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■神経因性膀胱障害
【蓄尿障害】
32.自己導尿を行っている外傷性脊髄損傷(第8胸椎)の患者です。対処と処方について教えてください。
岩坪 暎二
1
1北九州古賀病院排泄管理指導室
pp.112-113
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101409
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1 診療の概要
外傷性脊髄麻痺(脊髄損傷)は,麻痺の部位(頸髄損傷四肢麻痺か脊髄損傷対麻痺か)と程度(完全麻痺か不全麻痺か,および痙性麻痺か弛緩性麻痺か)に応じた適切な排尿管理法があり,膀胱機能(蓄尿・排尿能力)と排尿関連動作能力の両者をみて決めるべきである。
膀胱機能障害はどの脊髄損傷レベルでも起こり得るので,骨盤内臓(膀胱・直腸・性器)と括約筋・陰部の支配神経(前者は骨盤自律神経,後者は陰部神経)に麻痺があるか否か,膀胱機能検査(排尿日誌や膀胱内圧測定)で確定でき,仙髄領域の麻痺の状態でも推測できる。排尿関連動作能力については,身体の麻痺レベルで判断できる。第8胸髄レベルの脊髄損傷者は鳩尾以下に知覚障害を示す下半身痙性麻痺で,膀胱(排尿筋)は痙攣性麻痺(排尿筋過反射)のため不随意に排尿が起きやすい。しかし,上半身機能は正常なので車椅子での生活自立ができる。胸髄レベルの外傷は完全麻痺になりやすく,尿意がなく突然の排尿反射で尿失禁する。男性はコンドームタイプの収尿器,女性はオムツか留置カテーテルされることが多い。
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