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2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■神経因性膀胱障害
【蓄尿障害】
33.膀胱容量は100ml未満で,強い無抑制収縮が生じる脊髄損傷(高位胸髄レベル)の男性患者です。残尿はなく,抗コリン薬の内服でも改善しません。対処と処方について教えてください。
岩坪 暎二
1
1北九州古賀病院排泄管理指導室
pp.114-115
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101410
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1 診療の概要
高位胸髄レベルの脊髄損傷者で生じる強い膀胱収縮は,排尿筋反射(反射性収縮)で無抑制収縮とは呼ばない。残尿がないのは,尿路感染が起きにくいバランス膀胱状態といい,排尿訓練がうまくいった結果である。しかし,反射性尿失禁となるために,コンドームタイプの集尿器をつけて社会復帰するのが常であった。なかには,第6胸髄レベル以上の高位であれば,自律神経過緊張反射という不愉快で苦痛な症状を伴うことがあり,尿がたまると,顔面紅潮,全身のゾクゾク感や発汗,割れるような頭痛など,発作性高血圧症状のために苦しむことも少なくない。自律神経過緊張症状が強くて,抗コリン薬内服でも膀胱容量が100ml未満なら実用的な自己導尿はできないので1),古典的対応としてコンドームタイプ集尿器を用いるのもよい。どうしても失禁のない自己導尿が望みなら,1.オキシブチニン膀胱内注入,2.ボツリヌス菌毒素製剤膀胱壁内注射療法(BTX-A療法)も考えられる。
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