画像診断
自然破裂した傍腎盂囊胞
川上 雅子
1
,
井上 博夫
1
,
小泉 孔二
1
1信州大学医学部泌尿器科
キーワード:
傍腎盂囊胞
,
破裂
Keyword:
傍腎盂囊胞
,
破裂
pp.258-259
発行日 2004年3月20日
Published Date 2004/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100481
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患者 79歳,女性。
家族歴 特記事項なし。
既住歴 2002年11月に小脳出血を発症し,抗凝固剤を内服中。
現病歴 1999年4月当院内科より尿潜血および腰背部痛にて紹介され,IVPおよび腹部CT(図1)を施行した。診断は両側傍腎盂囊胞であったため年1回の腹部超音波検査にて経過観察していた。2003年1月15日突然腹部正中から左背部の激痛が生じた。その際,転倒や外傷などの誘因と思われる事項はなかった。救急車にて当院救急外来を受診し入院した。
入院時現症 上腹部正中から左にかけての圧痛を認めた。悪心,嘔吐,発熱症状は認めなかった。その他,身体の異常所見はなし。
入院時検査所見 血液性化学検査および尿検査に異常を認めなかった。
入院後の経過 救急外来にて急性腹症の原因精査のため,腹部CT(図2)を施行した。左後腹膜腔に腎を取り巻くように水分密度領域を認めた。腎外への造影剤の漏出は認められなかった。以上より,急性腹症の原因は左傍腎盂囊胞の自然破裂と診断した。腹痛は徐々に軽減し、翌日にはほとんど痛みを認めなかったため,入院後3日目に退院した。発症1か月後の2月20日腹部CT(図3)を再検した。入院時に認められた左後腹膜腔の水分密度領域は消失し,傍腎盂囊胞は1999年のCT所見とはほぼ同様であった。現在まで疼痛の再発,血尿などの症状を認めずに経過している。
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