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カナダにおける卒後皮膚科臨床研修と皮膚科専門医施設の認定(その1)
現在,日本では,卒後臨床研修の新しい制度について大幅な改革が試みられている.私は,1966年に大学を卒業したが,この時全国的に行われたインターン闘争の一環として大学院入学,医師国家試験をボイコットしたグループの一人であった.この闘争の主たる目的は,①身分保障(経済保障)と②卒後臨床研修の教育内容の充実であった.この闘争の結果として数年後にインターン制は廃止され,学生は,卒業と同時に医師国家試験を受け,医師の免許証を与えられることとなった.これにより,収入を得ることが可能となり,ある一定の経済保障がなされたわけである.
現在,2004年度から予定されている2年間の卒後臨床研修制度は,この時以来,約36年ぶりの新しい改革であり,この新制度の設立に対しては十分注意深いフォローが必要である.殊に,この2年間の卒後臨床研修を義務化し,研修内容を一定に絞り(必修カリキュラム),同時にこの研修を修了しない限り,独立した医師としての資格(例えば,独立して開業すること)が得られないこととなる.現在問題となっていることは,厚生労働省が従来大学附属病院が主としてなっていた卒業生の(約75%に対して)卒後臨床研修の教育機関としての役割を大幅に縮少させ,逆に現在勤務医師の少ない地方の2次医療圏に研修医を配置し,これにより地域医療における医師不足を解消すること,さらに経済保障を確立するために研修医を労働者(教育を受ける医師としてではなく)として扱い,その主たる収入源を国からの支給ではなく,おのおのの研修病院の医療費の収入の中から支給するということである.さらに研修医の配分をマッチング・プログラムという新しい方式を導入することにより厚生労働省の意図としている「医師不足の2次医療圏」などに均等に医師配分しようとすることに利用される可能性がある.
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