連載
海外生活16年—出会った人・学んだこと・7
神保 孝一
1
1札幌医科大学皮膚科
pp.645
発行日 2001年7月1日
Published Date 2001/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903654
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ハーバード大学医学部皮膚科学講座のスタッフの紹介(その2)
私が在籍した当時のハーバード大学での皮膚病理は,病理のレジデント3年目のDr M Mihmが責任者としてスライドを読んでいた.それ以前の1969年までは後にフィラデルフィアに移ったDr WH Clarkが皮膚病理を見ていた.Dr Mihmは,Dr Clarkの直弟子であった.Dr Clarkの前任者は当時タフト大学の皮膚科学講座の教授であったDr W Leverである.
Dr Leverは,われわれ皮膚科医が皮膚病理のバイブルとして必ず読まなければならない教科書“Histopathology of the Skin”の著者である.彼は,従来完全に区別されていなかった類天疱瘡と尋常性天疱瘡との組織学的分類を明確にし,両者がまったく異なる疾患であることを明らかにした.また,これら水疱性疾患に対してはステロイドの大量療法が有効であることを示し,治療指針を確立した.これら2つのことが,皮膚病理の教科書の出版に加え,彼の学問的業績として挙げられている.彼の教科書は,われわれ日本人にとって読みやすく,理解しやすいこと,さらには記載が簡明で,診断に必要な要点が列挙されており,暗記しやすいという特徴を持っていた.
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