連載
海外生活16年—出会った人・学んだこと・12
神保 孝一
1
1札幌医科大学皮膚科
pp.1069
発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412903771
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ハーバード大学医学部皮膚科学講座におけるレジデントの研修(その4)
Dr A Sober教授と色素性疾患クリニック
Fitzpatrick教授の主たる研究分野は色素性疾患である.これにはメラニン生合成,先天性・後天性色素性異常症の病態の解明と治療法の確立,さらには悪性黒色腫(メラノーマ)の病態・診断・治療法の開発である.1969年に皮膚病理のClark教授,外科のRaker教授との共同により,MGHに色素性疾患クリニック(Pigment Lesion Clinic)が開設された.このクリニックの主眼は,もちろんメラノーマであったが,開設当初はあまりメラノーマ患者の外来受診は多くなかったと聞く.しかしその後,一般人へのキャンペーン,さらには報道機関などを通じての広報活動を行った結果,毎年うなぎのぼりに外来受診患者が増えていった.この中で良性・悪性色素性腫瘍の臨床的鑑別診断法のクライテリアも確立された.
Sober教授は1972年にMGHにレジデントとしてこられてから,常にこの色素性疾患クリニックの運営にかかわってきた.レジデント終了後,彼は私と同じ時期(1974年)にハーバード大学の助手となり,私の研究の臨床患者の臨床データの追跡調査などに関し常に側面から積極的に応援してくれ,現在も友人として親しく付き合っている.
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