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かばん語,新しい辞書について
みなさんはportmanteauという単語をご存じですか.これはもともとフランス語で,2つに分かれて開く方式の旅行かばんのことです.しかし現在の英語の世界はこのportmanteau wordsに囲まれていると言えます.つまり,かばん語(2語が混交して1語になった語)を日常多く使っております.みなさんがご存じの“medicare”(アメリカの65歳以上の老人保険)も実はmedicalとcareが一緒になったものです.他には日曜日によく出掛けるブランチもbreakfastとlunchの複合語,またE-zinesはelectronic magazinesのことです.次は私の最近のお気に入りのひとつですが,我々皮膚科医のe-mailグループで度々登場する“anec-date”というものです.これはanecdotal(逸話,奇談)とdataが一緒になったものですが,おかしな組み合わせですね.実はこれは実際にそのデータが詳しく研究調査されたわけではないのですが皮膚科医たちが信じている情報のことであり,このように全く意味の違う言葉が一緒になったわけです.日本でもパソコン(personal computer)やファミコン(family computer)のような多くのportmanteau wordsが生活に入り込んでいますね.
通常辞書というものはさほどおもしろい本とは言えないのですが,今日からは違いますよ.有名なWebster辞書から出版された“New World College Dictionary”は大変興味深い新語が多く掲載されています.例えば皆さんもslammedというのはお聞きになったことがおありと思います.これは誰かが体を痛めつけられて苦しんでいることですが,最近では経済上の痛手をも表しており,slammingといえば利用者の意図で勝手に電話会社を変えてしまうことといった具合です.
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